サイエンス Science
LassoGraft Technology®について About LassoGraft Technology®
LassoGraft Technology®は、標的に特異的に作用する環状ペプチドを、任意の生体内タンパク質にグラフトし、新たな生理活性を有するタンパク質へとトランスフォームする、すなわち新しいバイオ医薬品「ネオバイオロジクス」を創製します。これにより、バイオ医薬品の世界は、抗体型タンパク質というモダリティの呪縛から解かれ、これまでは届かなかった領域まで可能性を広げました。
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01
既存の単一標的抗体から複数の標的に同時に結合できるような、あるいは、血液脳関門を通過して中枢疾患への応用ができるような、グラフト多価抗体「アッドボディ」へのトランスフォーメーション
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02
薬理作用を持たないIgGのFc部分へのグラフトにより、抗体の3分の1程度の投与量で効果を示す「ミラボディ」へのトランスフォーメーション
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03
特定の細胞や組織への特異的遺伝子導入を可能にし、遺伝子治療の安全性や有効性を向上させた、指向性AAVや指向性LNPへのトランスフォーメーション
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04
サイトカイン・ホルモンなどへのグラフトで、効果の延長、活性の増強など、優れた特性を持つ新規生理活性タンパク質へのトランスフォーメーション
そのほかにも、多くの「杖の振り方」があります。
LASSOGRAFT TECHNOLOGY®の特徴 Features of LassoGraft Technology®
LassoGraft Technology®は、多機能な「ネオバイオロジクス」を考案するためのシンプルなソリューションを提供します。
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Speed スピード
3-6か月で、リード化合物の取得が可能
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Robustness and reliability 堅牢性・信頼性
LassoGraftの成功確率が高い
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Multifunctionality 多機能性
一つの足場タンパク質に複数の別の環状ペプチドをグラフトすることが可能
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Advanced molecular design 高度な分子設計
3次元トポロジーを考慮した分子設計が可能
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Plug & Play プラグ&プレイ
いったん特定の環状ペプチドのグラフトに成功すれば、それを異なる部位や異なる足場タンパク質に“抜き・差し”することで、結合活性を自在に発展させることが可能
当社技術詳細 Details of Our Technology
Core Technologies
RaPID System
Random non-standard Peptides Integrated Discovery (RaPID)システムは、mRNAディスプレイと遺伝子コードの再プログラミングを組み合わせ、10の12乗以上からなる多様性のランダム配列のライブラリーからde novoで大環状ペプチドを生成し、様々な標的に対して選択的に結合する環状ペプチドを多数作り出すシステムです。これら環状ペプチドは、一般に標的に対して厳密な結合特異性と高い親和性を示し、受容体拮抗薬や作動薬、結晶化シャペロン、イメージング/検出ツールなどの用途で高い有用性が証明されています。
LassoGraft Technology®
RaPID由来の環状ペプチドの活性部分であるファーマコフォア配列は、組換えタンパク質の表面に露出したループに容易に移植することができ、元の環状ペプチドの結合機能と足場タンパク質の機能の両方を維持することができます。このタンパク質工学的手法をLassoGraft Technology®と呼びます。この技術により、IgG、血清アルブミン、アデノ随伴ウイルス(AAV)のカプシドタンパク質など多様な足場タンパク質に様々な受容体に対する特異的結合能を付与できることが分かり、2重、3重、さらには4重特異的結合分子を迅速に処方・生産することができるようになりました。
Applied Technologies
アッドボディ
LassoGraft Technology®を抗体に適用することで、多機能な抗体を即座に作製することができます。
- 最小限のエンジニアリング(~15アミノ酸残基のペプチドの挿入のみ)
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オリジナルの抗体の特異性を維持
- ADCC、FcRnへの結合活性を維持する。
- FcɤRIII, Protein A/Gへの結合活性を維持する。
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プラグ&プレイ
- 二次、三次、四次の結合活性を付与することができる。
ミラボディ
Fcベースのネオバイオロジクス:Fab/CDRはもう必要ありません。
Fcは、抗体医薬の利点の多くを備えているため、ミラボディは以下のような特徴を有しています。
- サイズが小さい (~50 kDa)
- 単一サブユニットフォーマットにより、組換え生産が簡素化される
- 挿入部位の豊富な選択肢
- 二価性を維持する
- FcγR、FcRn、プロテインAとの結合部位がある
受容体機能のモディフィケーション
ミラボディやアッドボディのような二価の結合部位を有するミラプロダクトを用いることで、ある受容体に対してのアンタゴニストやアゴニストを創製することができます。
PlexinB1結合ペプチドを用いたアゴニスト、アンタゴニストの作成例。
- ほとんどの受容体は、リガンド結合時にオリゴマー化することで活性化される
- リジッドなタンパク質ベース、すなわちFc上に2つの受容体結合部位を提示することで、ある部位をグラフト化したミラボディがアゴニスト活性を示すようになった。
- 興味深いことに、同じペプチドを別の部位にグラフトしたミラボディは、アゴニスト活性を示さず、アンタゴニスト活性を示した。